会社も社長も損をしない社会保険料の支払い方 Ⅲ

2016年07月03日

社長の年収を維持して在職老齢年金をもらう方法(事前確定届出給与の活用)
前回に引き続き社長が年収を減らさないで、65歳から在職老齢年金を満額貰える方法をご教授します。
今回は、役員に賞与を支払いその分月額報酬を下げ、在職老齢厚生年金をもらう方法です。ご存じのように役員賞与は、税務上経費になりません。しかし、税務上経費にできる方法はあります。これを「事前確定届出給与」といいます。
毎年、会社は決算終了時に翌期の役員報酬の決定をしています。その際に賞与として支給する額をあらかじめ決定し、税務署に届出をすればこれを費用計上することができます。
つまり、役員の月額報酬と賞与(事前確定届出給与)に分けて支給する決定をします。
例えば、月額100万円の役員報酬、老齢厚生年金額が180万円(月額15万円)の事例でシミュレーションしてみましょう。
 役員報酬月額100万円×12か月=1200万円ではなく、月額10万円にし、残り1080万円を事前確定届出給与として支給します。(届出は、時期と支給額を決める必要があります。この例では、4月に1080万円としています。)
賞与に対する負担は、支払い額(1000円未満切り捨て)×保険料率です。
しかし、各保険料には上限があります。健康保険料は年間(4~3月)573万円、厚生年金保険料は1回150万円です。つまり上限額を超えた部分に関しては保険料の負担はありません。ここがポイントです。1080万円の賞与に対して健康保険料は573万円、厚生年金保険料は150万円に各保険料率を掛けたものが負担額になります。
結果として、年間で同じ役員報酬を支払っても約140万円以上の負担が軽減できます。
65歳以上の在職老齢年金の仕組みは、標準報酬月額相当額(標準報酬月額+直前1年間の賞与÷12)と年金月額の合計が47万円を超えたところから超えた分の半分の年金額のカットされる仕組みです。
図4の例でいうと月額100万円のままであれば、
 (62万円(厚生年金の標準報酬月額の上限)+15万円)=77万円
 77万円―47万円=30万円
30万円÷2=15万円(年金月額)となり全額カットになります。
一方月額10万円と事前確定届出給与年1回1080万円にすると
 (9.8万円(標準報酬月額)+*150万円÷12)+15万円=37.3万円となり
47万円を超えないため満額年金を受け取れることになります。
*賞与に対しては、1回150万円が上限ですので150万円が年間支払賞与額になります。

この様に役員報酬の支給方法変えれば、年間の役員報酬の額を変更しなくても、貰えないはずの180万円の老齢厚生年金が貰えるようになるのです。
年間180万円の年金が貰えるようになれば、その分役員報酬を下げれば社会保険料の会社負担分約70万円を加えると約250万円以上の会社のコストダウンが図れます。
 まず、社会保険料の負担額(会社・個人合計額)は図表4のようになります。
事前確定届出制には、デメリットも当然あります。使い方を間違えると不要の法人税の負担が増えることも考えられます。(一度顧問の税理士さんのご相談頂くか弊社へご相談下さい。)また、月額変更処理を行わなければ標準報酬月額も変更されませんが、それらのことを差し引いて勘案しても会社にとっても、社長個人にとっても魅力的な話ですね!!               

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