クリエイティブ系の仕事は時間管理不要?(専門業務のみなし労働制)

2009年04月10日
①専門業務型裁量労働制とは

前回、事業場外みなし労働制を取り上げました。
今回は次に多く採用されている専門業務型裁量労働制のお話です。
仕事の量(勤務時間)ではなく、仕事の質ないし成果によって報酬を定めることができる制度です。

1日に必要な労働時間を定め、その時間を「労働したことにする」いわゆるみなし労働時間に対して賃金を支払うことができます。
このみなし労働制を使える業務は表①に挙げる19業務限定で、かつ業務の遂行手段・時間配分などの対象社員に任せなければなりません。
(19業務に該当していても上司の指示で業務をしている社員は対象外です。)
クリエイティブな業務は、仕事の多くは「考える」ことが仕事なので勤務時間=労働時間と考えにくいということなのでしょうか?

表①  対象19業務

      ①新商品もしくは新技術の研究又は自然科学の研究業務
      ②情報処理システムの分析・設計業務
      ③新聞・出版・放送等の事業の取材・編集・制作業務
      ④衣服・室内装飾・工業製品・広告等にデザインの考案
      ⑤放送・映画等の制作事業のプロデューサー・ディレクターの業務
      ⑥広告宣伝等の業務のコピーライターの業務
      ⑦情報処理のシステムコンサルタントの業務
      ⑧インテリアコーディネーターの業務
      ⑨ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
      ⑩証券アナリストの業務
      ⑪金融工学等の知識を用いて行う金融商品開発
      ⑫大学の教授研究の業務
      ⑬公認会計士の業務
      ⑭弁護士の業務
      ⑮建築士(1級・2級建築士及び木造建築士)の業務
      ⑯不動産鑑定士の業務
      ⑰弁理士の業務
      ⑱税理士の業務
      ⑲中小企業診断士の業務

②みなし労働時間の決め方

では、みなし労働時間はどう決めるのでしょうか?
1日に必要な労働時間を労使が協議して決めます。1日の法定労働時間は8時間ですが、その制約も受けません。
但し、みなし労働時間を仮に10時間と定めると2時間分の時間外に相当する割増賃金分は必要になりますが・・・
でも、最初から残業時間が決まっているのですからその分を定額残業手当で支給すればその社員の年間の給与がほぼ確定できます。
但し、深夜・休日等の適用は除外されませんのでご注意です。

「であれば、出退勤の管理は必要ないのでは」と思われた方のいらっしゃるでしょうが、そうではありません。

いくら自由裁量で労働時間を決められるといえ、使用者の安全配慮義務は免れませんので、実際の労働時間の状況・健康管理は必要です。

長時間労働が原因での過労死・自殺・うつ病は労災認定されやすくなっています。
過労死で労災認定されると遺族から多額の損賠賠償請求される恐れもあります。
十分な配慮は必要です。

③年俸制との関係

このような社員は、年間の給与を確定しやすいのでいわゆる年俸制の賃金の方が多いのではないでしょうか?
「年棒制は、残業代が不要だから・・」と思われている経営者も多いのですが、そうではありません。

みなし労働時間制でもみなし時間が法定労働時間を超えれば当然必要ですから、年俸制だからといって不要にはなりません。
更に、支払い方を「年棒を1/16して毎月支払い残り、4か月分は賞与がわりに払う」なんていうケースは最悪です。
年俸はあくまでも賃金ですから、何分割しても残業単価は同じです。
だったら、最初から月給にして残りを賞与にした方が残業代は少なくて済みます。何のための年俸かよくわかりませんね。

年棒制にすることに多くにメリットは感じられないのですが?
再考の余地はあるかもしれません。

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