年次有給休暇の買上げは法律違反?

2010年04月22日
①年次有給休暇の買上げは労基法違反

年次有給休暇の買上げとは、一般的には「社員が年次有給休暇を取得できなかった残日数を会社が金銭で補償する」ことをいいます。
労働基準法では、これを原則禁止しています。
なぜなら、社員は、有給休暇を「お金」会社が買上げてくれれば、有給休暇の積極的な取得をしなくなるからです。
具体的には以下の場合は禁止です。

  ①年次有給休暇を買上げることによって実質の付与日数を減少させ、社員が現実に法定日数の休暇を取ることができない場合
  ②年次有給休暇を買上げることを予約し、予約があることを理由に社員からの請求があっても休暇を与えなかった場合

しかしながら、現実の中小企業の実情を勘案すれば、買上げの制度がなくても有給休暇を取得することは 厳しく、1年間の付与日数を全て消化している社員さんは少ないのではないでしょうか? 「傷病や特別な理由がないかがり、休みたくても休めない。」というのが現実ではないでしょうか?

②年次有給休暇の買上げができる場合がある?!

年次有給休暇の買上げを禁止しているのは、あくまでも法定日数が対象です。それ以外を買上げることは特に法律違反ではありません。
例えば、年次有給休暇は付与から2年経過すると時効となり消滅します。
つまり、前年度分の未消化分は次年度へ繰越できますが、翌年は、繰り越せず時効となり消滅します。
これを会社が買上げてあげることは法律違反ではありません。なぜならば、会社が買上げなければ社員は単に権利を失うだけで社員にとって不利にならないからです。
積極的な年次有給休暇の取得を促進することが優先されるべきではありますが、社員にとってのインセンティブになるかもしれません!?
あまりお勧めはしませんが・・・費用対効果の問題ですが・・・・

③退職時の有給休暇の買上げを効果的に活用する。

ただ、退職を予定している社員は少し事情も変わってきます。
有給休暇の権利関係は、労働契約があって始めて成立するものです。退職時に未消化の年次有給休暇があったとしてもその時点で消滅します。
そのため自己都合で退社する場合は、有給休暇の未消化分を消化してから退職するケースは多いのではないでしょうか?
実務上は、他の社員と引継ぎなどもありますから、退職間際に出勤してくれないと困るケースも多々あります。
就業規則で「退職時の引継ぎ」を義務とすることを規定しても、退職してしまう社員ですから守らせるのは難しい。であれば、引継ぎをしっかりしてもらう代わりに未消化分を買上げてあげるのです。
これは、社員にとってもメリットがあり会社も費用対効果十分ではないでしょうか?

④有給休暇消化のための計画年休を労使協定で結ぶ

そもそも、年次有給休暇の未消化がなければこんな問題は考えなくても済みます。
その対策の1つとして「計画年休制度」というものがあります。
これは、「労使が合意し、1年のうち5日間だけは自由に年次有給休暇を与えれば、残りは会社が決めることができる」という制度です。
例えば、会社が一斉に休業する夏休み・年末年始・ゴールデンウィークなどで有給休暇を振り分けます。(但し、元々休日・休暇の日は除く)そうすれば、年間10日ぐらいは強制的に消化することが可能です。
もちろん、就業規則に規定した上で労使協定が必要です。(労働基準監督署への届け出は不要です。)

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