「営業社員には残業代を払わなくても大丈夫?」

2011年02月26日

「社長、御社の外回りの営業社員に残業代を支払ってしますか?」
「うちの社員は、直行・直帰も多いから正確な残業時間なんて把握できないよ。その代わりに営業手当を出しているよ。社員からも不満は出ていないよ。」
これって本当に大丈夫でしょうか?

確かに、外勤の営業社員の勤務時間を把握するのは困難なケースはあります。
このような場合のために「所定労働時間を算定し難い時は所定労働時間をしたものとみなしても良い」という「事業場外みなし労働時間制」が法律で認められています。(労働基準法第38条の2)

例えば、外回りで9時~20時まで10時間(休憩1時間として)働いた場合でも、所定労働時間が8時間の会社であれば8時間働いたとみなすということになります。(事務所内の労働時間がある場合はそれも含めて良いことになっています。) 
これを適用すれば一見問題ないように思えます。

しかし、こんなケースはどうでしょうか?
S商事㈱の場合(所定労働時間9時~18時、休憩1時間の8時間)

①Aさんは、朝9時出社。2時間後外回りに出かけ会社には帰社せず報告も無く20時まで仕事をして帰宅。

②Bさんは、朝9時出社。2時間後外回りに出かけ夕刻17時に帰社。その後事務処理をし、18時より営業会議が20時まであり、その後帰宅。

③Cさんは、朝から出社せず外回り。上司から具体的な訪問先・業務内容を指示されながら外回り。上司に結果報告を携帯電話で行った後に20時に帰宅。

「事業場外みなし労働制」の適用のポイントは1つ。「労働時間を把握できたのか?できなかったのか?」

まず②のケースは、11時から17時までが労働時間を把握できていませんが17時以降は事務所にいるので労働時間は把握できます。
18時以降の時間は時間外になりますので残業代が当然必要です。

次に③のケースですが、ずっと事務所の外で仕事をしていますが、上司の指示のもとで業務をしています。少なくとも上司は、労働時間が把握できているので事業場外みなし労働制は適用されません。したがって18時以降の時間はBさん同様残業代が発生します。

この3つのケースでは、Aさんだけが事業場外みなし労働制が適用され、残業代が不要となります。
営業社員に事業場外みなし労働制を採用したとしても、残業が発生する可能性は十分あります。残業代を支払わなくて良いということにはならないのです。

しかし、労働時間は把握しづらいことには変わりありません。ではどうすれば良いのか?現在の賃金をあまり変えずに未払い残業代を抑制する工夫を1つご紹介します。
 
まずは、就業規則に事業場外みなし労働制を規定します。
次に、支払っている営業手当を定額の残業代として明確に位置づけます。営業手当を残業代単価で割って、その時間数分の定額残業代として明確にします。(もちろん、残業時間が超えなかった月も支払い、超えた月は超えた分を 別途支払います。)
単なる営業手当だけだと「業務の特殊性に対する対価」「外出労働の費用の補助」などの性質もあり、他の手当と変わらず残業

単価に含まれることになります。

未払い残業代が更に膨らみます。

もちろん、社員と十分な話し合い、合意を得て周知徹底を図ることはいうまでもありませんが・・・・・。

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