ストレス社会が生み出した新たな問題[心の病と労務管理]

2011年06月30日

日本における自殺者は、毎年3万人を超えています。
ちなみに、交通事故死者数は、H20年度で約5000人です。
いかに多いかが分かります。
日本の自殺者の数は、同様の先進国社会のアメリカの約2倍、イギリスの約3倍です。
いかに日本の自殺者が多いかが分かります。
日本人特有の勤勉実直な気質が要因の1つかもしれません。

年齢別にみると一番が50歳代、次が60歳代、僅差で40歳代、30歳代と続きます。
働き盛りの中高年が圧倒的に多くなっています。(小中学校のいじめが問題になっている10代は、全体のわずか2%弱です。)
働き盛りの中高年のストレスは仕事・会社で多く受けていると想定されます。

「過労自殺と使用者の責任を争う裁判」で大手広告会社が敗訴しました。(第一審東京地裁H8年3月28日、敗訴審東京高裁H9年9月26日、上告審最高栽H12年3月24日)
概要は、社員がうつ病になり自殺しました。
そのうつ病になった原因は、社会通念を超える長時間労働の結果であると認定され、会社はそのことを知りながら労働時間の軽減措置を取らなかった。
そのことが、安全配慮義務に欠けるとして結果、会社側は、約1億2600万円を支払うことになりました。

これ以前は、うつ病にかかる原因は個人の問題であり、そのことが原因で自殺をしたとしてもあくまで個人の問題であるという世間の常識を一変してしまいました。
このことがきっかけになり、H11年に「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」が示され労災の認定判断基準が示され過労自殺に対する労災認定が一定の要件で認められるようになりました。
その後、企業の安全配慮義務等が更に強化されています。
H20年には申請件数約900件に対し、269件が認定されています。

もっとも会社とすれば、「労災認定されれば、遺族に遺族補償がされるので良かった」と思われるでしょうがそれだけでは済みません。
この裁判事例は、労災認定を争った裁判ではありません。
そのことに対する企業の責任を問われているものです。

過労自殺に対して労災認定がされるということは、会社が安全配慮義務を守っていなかった可能性が高く会社の責任は残ります。
ですから、多額の損害賠償請求を遺族からされること、安全配慮義務違反を争う訴訟も同時に多くなっています。
自殺まで至らなかったとしても社員が心の病「うつ」になってしまったら会社にとっても損失は少なくありません。
現代はストレス社会です。「うつ」の患者数は今や100万人を超えています。
10年前と比較してほぼ2倍になり、今後、ますます増加傾向にあります。
心の病「うつ」の原因であるストレスを減らすなどの「メンタルヘルス対策」を含めた労務管理が当たり前の時代なのかもしれません。

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