社員を懲戒解雇したら退職金は支払わなくてもよい?

2011年10月08日

そもそも、労働基準法上は退職金を支給しなければならない訳ではありません。
就業規則に退職金の支給を定めた場合にのみ、賃金に該当し会社は支給義務を負います。(但し、過去において慣行として支給されていた場合はそれ自体が支給基準になる恐れがあります。)

労働基準法上必ず定めなければならないものではありませんから、会社は支給に関しては支給事由・支給額は会社が自由に決定することができます。
例えば、定年退職者のみに支払うとか同業他社と比較して低い水準で支給基準を設けても何ら問題はありません。
又、退職理由は、様々なケースが想定されます。例えば、定年、死亡、会社の都合による解雇、社員自身の問題による解雇、自己都合退職などなど。。。

それらの事由に自由により支給基準は会社の自由に決定できます。
ここで問題になるのが懲戒解雇した場合です。
通常「懲戒解雇は、退職金は支給しない」というのが常識的な考え方だと思うのですが、必ずしもそうではありません。
退職金規程に「懲戒解雇の場合は、全額不支給とする」という記載がないと支給しなければなりません。
又、懲戒解雇された社員が退職金の支給を会社に求めた裁判では全額不支給を無効とし、一部の支払いを命じました。
(H14.退職金請求訴訟事件、東京高裁H15.12.11判決)
内容を要約すると、「訴訟を起こした社員は、度重なる痴漢行為を行い迷惑防止条例違反の罪で略式起訴されたことを理由に会社を懲戒解雇されました。会社の規定により退職金は全額不支給とされました。退職金の全額不支給は無効、支払いを求め訴訟を起こしました。」
判決結果は、一部の支払い(基準の3割)を会社に命じました。
その理由は、「退職金を不支給にするのには、業務上の横領や背任行為や業務外の不法行為は会社の名誉を著しく害し、会社が無視しえない現実的損害を生じさせる行為に限る」とし、会社への永年勤続(この社員は20年勤続)の功労に対しては減額できないというものです。
なんだか釈然としないかもしれませんがこれが、現実です。

また、業務上の横領などの発覚を恐れ、懲戒解雇になる前に自主的に退職してしまわれると退職金を支払わなければならなくなります。
退社した社員を後から処分はできませんから・・・
これらの対策としては、「懲戒解雇又は懲戒解雇に相当する理由が発覚した場合には全額又は一部を不支給とする」というような規定を明記することです。
更に、退職金の支給に際しては通常の賃金と違って7日以内に支払わなければならない訳ではありません。
不信な社員は、会社が調査できる一定の期間を担保できる支払い期日を明記しておくと更に良いでしょう。

記事カテゴリ一覧

人事 採用 労務など企業の抱える問題を解決します。Copyright (C) 株式会社GAKUコンサルティング/ GAKU社労士事務所. All Rights Reserved.