有期契約社員の契約解消の問題点

2011年11月23日

労使のトラブルで労働基準監督署に寄せられる相談件数は年々増加し、直近の「平成22年度の個別労働紛争解決制度実施状況」によれば、個別労働紛争相談件数は、24万6907件にも及びます。(昨年度の同調査とほぼ横ばい)
相談者は、労働者81.2%と大半を占めており、事業主からの相談はわずか11.4%でした。

H22年度の特徴は、正社員からの相談が減少し、(44.0%対前年-3%)かわってパート・アルバイト・有期契約社員からの相談が増加傾向にあります。(27.8%対前年プラス2.8%)
その中でも、契約期間満了に伴ういわゆる「雇い止め」に関する相談が増加しました。
そこで、今回は有期契約社員の「雇い止め」について整理しましょう。

そもそも、社員の中には、期間を定めない契約いわゆる「正社員」と一定の期間を定めて契約するいわゆる「契約社員」が存在します。
両者では、雇用契約の終了の意味は異なります。
「正社員」は、期間を定めていないわけですから、会社が解雇しない限り雇用契約は終了しません。
そのため、「定年」という年齢による雇用契約の終了を規定するのが一般的です。

一方、「有期契約社員」には契約期間の満了があります。
契約期間満了に伴い、雇用契約を終了することを「雇い止め」といいます。
これは、通常の解雇ではありません。(契約期間の途中で雇用契約を会社が一方的に終了させる場合は解雇にあたります。
したがって、契約を解消させる理由がどの様な理由かは原則、問われません。
しかし、現実はそう簡単ではありません。

「有期契約社員」の場合、通常は契約満了後でも更新をして契約期間を延長するケースが大半でしょう。
その場合は少し状況が異なります。
雇用契約の更新が常態化して雇用契約書の契約期間自体が形骸化し、形式的なものになっている場合は、「期間の定めがない契約」と同様にみなされます。
仮に、期間満了で契約を終了した場合でも、「雇い止め」にはならず「解雇」になります。
「解雇」が有効とされるためには、「客観的に合理的な理由」が必要になります。
さらに、その理由が「社会通念上相当である」ことも必要です。
これに該当しない場合は、解雇権の濫用とみなされ無効となります。
これでは、せっかく有期の契約社員として雇用した意味がありません。

このようなことが起きないよう経営者は、雇用契約を結ぶ時点から以下に留意が必要です。
 ①雇用契約書を必ず書面で取り交わし、契約期間を定める。
 ②雇用契約書には、契約期間終了後の契約の更新の有無を明示する。
 ③更新する旨を明示したときは、更新しない場合の判断基準も明示する。
 ④雇用契約を更新しない場合は、契約期間終了1か月前までに更新しないことを予告する。
 ⑤雇用契約を更新しない理由を労働者に請求された場合はこれを交付する。
 ⑥契約の更新を期待させるような言動はしない。

このようなルールを守り、雇用契約書を単に形式的なものにせず、契約の更新の都度新たに雇用契約書を取り交わしておきましょう。
労使が合意の基で働く環境がないと良い仕事はできません。
契約社員であってもできる限り長く働ける環境整備をされることは、労使トラブルを未然に防止する最大の手段なのかもしれません。

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