偽装請負・偽装出向にご注意ください!!

2012年02月18日

現代社会は、多様な就労形態で成り立っています。
その中に、取引先の会社に常駐して仕事をしている社員が大勢います。
このような雇用契約を結んでいる会社と実際に働く職場が違う場合に多く見られる問題が「偽装請負」です。
今回は、その問題点と留意点を確認しておきましょう。

そもそも、雇用契約を結ぶことにより会社(使用者)は、社員(労働者)に対して業務の指揮命令をすることができます。
通常、雇用された会社と実際の職場が同一ですから、この関係はあまり気になりません。
一方、雇用された会社から業務を請け負った取引先企業に派遣され業務をすることになると実際に働く職場が違うことになり、重要な意味を持つことになります。

分かりやすくご理解頂くために雇用された会社をA社、派遣される取引先企業(常駐先)をB社とします。
その場合、B社は、派遣され常駐しているA社の社員とは雇用契約がありませんから、業務の指揮命令をすることはできません。
しかし、その業務は派遣されたA社の社員又は、A社から数人のチームとして派遣されA社の社員だけでおこなえる業務であれば良いのですが、ほとんどのケースはそうではありません。
常駐先B社の社員から具体的な指示を受けながら業務を遂行しなければならない場合は、当然B社の社員がA社の社員に対して日常的な具体的な業務の指揮命令をしていることになります。
更には、就業時間や休日もB社のルールに沿って行われることが多いのです。
これがいわゆる「偽装請負」といわれるもので法令違反にあたります。

一見、特殊な事象に思われますが、これは一つの事業を複数社で行う業界、親会社の仕事を子会社、孫会社が仕事を請け負うような業態では日常的に行われています。
特に多いのが建設業界、IT業界、広告・イベント業界などです。
その違法性に気付かないで行なわれていることも多いのです。

この「偽装請負」の問題点は、社員の安全管理責任があいまいになることです。
常駐先のB社には、形式上は安全管理責任を負いませんので、作業に危険性を伴う場合や勤務管理・残業時間の管理が杜撰になりがちです。
安全管理責任があるA社は日常的な業務がどのように行われているかは正確に把握できません。
つまり、安全管理責任の体制が明確ではないことが一番の問題となるのです。

この解決策の一つにA社の社員をB社に出向させるという方法があります。
これは、出向元A社と出向先B社の両者に雇用関係が発生しますので、一見良い方法のように思えます。
しかし、そもそも出向とは、雇用契約上の権利の一部譲渡又は定期的な人事異動ですから、会社間で何らかの資本関係、業務提携や人事交流が存在しないといけません。
その様な関係もなく、単に労働者の派遣をしているだけとなれば、これもまた「偽装出向」なり違法性が問われてしまいます。

もっとも有効的な解決策は、A社とB社で労働者派遣契約を結ぶことです。
これは、A社が派遣元、B社が派遣先となります。
労働者派遣契約とは、一種の労働力の賃貸借類似契約で唯一法律上認められています。
この形態は、派遣先、派遣元とも派遣社員の安全管理責任を負う契約です。
一般的に派遣会社から派遣社員を受け入れている会社と全く同じ形態です。
つまり、双方に安全管理責任体制ができ、労災事故や労使のトラブルが起きにくくなるのです。
ただし、派遣元会社になるためには、労働基準監督署へ申請許可が必要になります。

この問題は、単に労使トラブルを未然に防止する観点だけでなく、コンプライアンス(法令順守)が当たり前の社会になってきています。
現在国会で審議中の労働者派遣法の改正案の中には「偽装請負」に関する規制強化も盛り込まれています。
知らなかったでは済まされない重要なことです。
しっかり認識し理解を深めたいものです。

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