管理職の役職定年制の問題点

2012年02月01日

いわゆる管理職の役職定年制とは、一定の年齢に達すると管理職からはずれ、以降退職するまで非役付者又は専門職として定年を迎える人事制度のことです。
これは、定年年齢が55歳から60歳義務化になった際大企業を中心に広く採用させたと言われています。

この制度の主な目的としては
①人事の停滞を防ぎ、組織を活性化することによる中年若年社員のモチベーションアップ効果
②高齢者の雇用確保のために高齢者の人件費を削減し、賃金配分の適正化を図ること
が挙げられます。

この制度は、管理職からの降格にあたります。
降格に関しては、企業組織の戦略上の問題とされ、原則企業の裁量権が広く認められています。
従って、就業規則上に制度として明記され、著しく不合理な制度でない限り直ちに違法にはなりません。
しかし、この制度には問題点がないわけではありません。
以下で問題点を検証してみましょう。

1つ目は、賃金をどこまで減額できるのかということです。
そもそも、管理職を解かれることに伴う賃金の減額なわけですから、それに見合った業務が減少しなければなりません。
つまり、管理職時代の決済権などの責任、社内幹部会議への出席、部下の人事評価・査定などの業務を行わない代わりに役職手当や基本給の一部を減額することになります。(その減額幅があまりにも大きく社員の生活レベルに影響を与えてしまうような場合は問題ですが・・)。

しかし、中小企業のなかには、単に勤続年数が長くなったからという理由で肩書だけを管理職にしているケースがよくあります。
このような実態を伴わない管理職が役職定年を迎えても業務なんら変わりませんから、単なる賃金の引下げにあたり明らかな不利益変更となり問題です。
従って、賃金の減額幅をどの程度にするかは、個々の企業状況、必要性、実際社員が被る不利益の度合いを勘案して決定する必要があります。
加えて、管理職を労働基準法上の管理監督者扱として残業代を支払っていない場合は、役職定年後は残業代に対して残業代を支払わなければなりません。

2つ目は退職金の支給額への影響です。
現在、多くの企業は給与比例方式の退職金規程を採用しています。
この規定は、最終賃金×勤続年数×退職事由で計算します。
つまり、定年退職前に役職定年を迎えると最終賃金が下がり、賃金の減額幅によっては退職金額が、役職定年制を導入しない場合と比較して大幅に少なくなる可能性があるのです。
これを是正する措置は当然必要になります。
既存の規程をそのまま使用するのであれば、どのようにルール化すれば不利益にならないかを検証することが必要でしょうし、場合によっては退職金規程そのものを変更する必要があるかもしれません。

最後に、定年年齢の65歳義務化もそう遠くないことは想像に難くありません。
そうなれば、60歳定年を基準にしていた役職定年年齢の見直しも検討項目に加える必要があるかもしれません。

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