定額残業代制で未払残業代は無くなる!!

2012年03月26日

H22年度の労働基準監督署の是正指導を受け、企業が支払った未払い残業代は、「123億2358万円」にもなります。企業数にして1728社、対象労働者数は、実に11万5231人にも達しています。昨年の1221社に比べるとかなり増加しています。

未払い残業代が発生する理由は様々です。例えば、意図的に残業代を支払わないもの、単純な計算ミス、未認識の残業時間に対する未払いなどが考えられます。
未払い残業代の請求権は2年です。仮に表沙汰になれば2年間分の未払い残業代をさかのぼって企業は、支払わなければならなくなります。
これは、企業にとって大きな潜在リスクです。
それらを未然に防ぐ方法として、定額残業代制があります。
今回は、その定額残業代制について解説します。

定額残業代制とは、毎月の実残業時間に対して時間外手当を支払う代わりに、毎月定額の残業代を支払う制度です。
例えば、基本給+諸手当+定額残業手当(月30時間分)として支給します。
もちろん、定額残業手当の支給額は割増率を加えて算出します。
法定割増率は25%ですから、会社の所定割増率が法定通りとすると計算式は以下のようになります。

((基本給+諸手当)÷月の平均所定労働時間数)×30時間×1.25=定額残業手当の額(時給換算額)

ということになります。
あくまで、定額の残業代ですから算出額より残業時間が少ない月も同額を支給します。
例えば、ある月の実残業時間が20時間しかない月であっても同額を支払う必要があります。
逆に算出額より実残業時間が多い月は超過時間数分を追加で支払います。例えば、ある月の実残業時間が40時間の場合は、10時間分は別途支払う必要があります。活用方法は様々です。

例えば、外回り中心の営業職・技術メンテナンス職など、実際にどれぐらい残業時間をしているか把握が難しいような業種です。
一般的は、このような職種には、時間外手当を支給しない代わりに、営業手当や外勤手当として定額を支給されている会社は多いと思います。
しかし、営業手当や外勤手当のままだと、いざ未払い残業代請求が起きると残業代として支払っていないことになります。
また、残業代の時給換算額を計算する際には、それらも含めなければならなくなり、より多くの未払い残業代が発生してしまいます。

これを定額残業手当として位置付けるのです。
これによって、一定の残業時間分を支払っていることになりますし、また残業代の時給単価計算から除かれます。
もし、未払い残業代の請求が起きたとしてもかなり少額で済みます。

定額残業代を支給する際の手当の名称は、どの様な名称でもかまいません。
しかし、就業規則(賃金規程)の営業手当や外勤手当に定額残業代として支給していること趣旨を記載しておかなければなりません。
加えて、この手当に含まれる残業時間数を明確にすることと給与明細書にもその記載が必要です。
仮にこの変更が社員に不利益になる場合は、社員の同意を取っておくことは言うまでもありません。

また定額残業代制は、無駄な残業時間そのものを抑制するという別の効果も持っています。
大した仕事もないのに会社に残って残業代を稼ごうという(いわゆる生活残業)ような社員は、残業時間が減少します。
なぜなら、一定の時間まで既に残業代が支払われているわけですから、仕事がないのに会社に残る必要がなくなるからです。
また、能力の高い社員であれば出来るだけ残業時間を減らそうと効率的に仕事をするように努力するようになるでしょう。

このように、様々な効果・効用を持つ定額残業代制は大変利用価値の高いものです。
未払い残業代の撲滅と合わせて検討の余地は十分ありそうです。

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