通勤手当で将来の厚生年金額が増える?

2009年04月03日
①通勤手当(通勤交通費)は標準報酬月額の計算に含める?

今回は、社会保険料(健康保険・厚生年金)にまつわる摩訶不思議なお話です。
社会保険料は、原則4~6月に支払われた給与の平均額で標準報酬月額が決まり、9月~翌年の8月まで毎月の保険料が決まります。

ところで支払われた給与に通勤手当(通勤交通費)は含まれるでしょうか?
「非課税だから、含まれない。うちは定期を現物支給しているから含まれない。」と思っている社長さんも思いますが、答えはNOです。

ある社長さんに説明したところ「悪法だな!」と言われてしまいました。でも、法律は遵守しなければなりません。
その社長は、なぜそういったのか?その社長は、社会保険料の計算に含まれれば社会保険料の会社負担も大きなるし、更には将来の厚生年金の額も増えることに気づいたのでしょう。
基本給や残業代など労働の対価として支払ったものであればまだしも・・。本人の保険料負担も当然上がってしまいますが・・・・・・
「でもそんなに大きく違わないのでは?」とお思いの方に実例をご紹介します。

②都内某所から新幹線通勤になった場合

彼(40歳)は、今まで都内の某所に住み自転車で会社に通っていました。
通勤交通費はかかっていなかったので当然通勤手当も支給されていませんでした。
ところが、ある日一大決心して自宅を軽井沢に建てました。毎日通勤を始めました。片道約2時間弱ですので通えなくはありません。
3か月の定期代は360,020円です。会社はこれを全額通勤手当として支給しました。
今までの彼の月給は40万円です。現在の社会保険料は月101,434円(労使折半で従業員負担分は50,717円) が131,122円(自己負担分65,561円)になりました。
彼の手取り額は毎月約15,000円減りました。
会社は、社会保険料が月々約15000円、年間で約180,000円も保険料負担が増えました。
更に通勤手当の増加分を合わせなんと年間約162万円も彼1人の人件費が増えてしまいました。
パートさん1人雇えてしまいますよね。
彼が、住む環境が変わり増えた人件費以上、会社への貢献をしてくれることを節に期待しています!?

ところで、将来の年金額はどれぐらい増えるのでしょうか?
とても計算がとても複雑ですので、簡易計算式を使って計算します。(覚えておくと便利です。)

厚生年金(報酬比例部分)         5,500円×平均年収/100万円×勤続年数
基礎年金額(国民年金に相当する部分)   20,000円×保険料納付年数(最大40年)

上の2つの合計が将来受け取れる老齢厚生年金です。
平均年収は大体40歳前後の年収でしょうか?仮に彼の平均年収が600万円で定年まで勤めると勤続38年です。
年金額は、125.4万円+76万円=約201.4万円ぐらいでしょか

今後20年を軽井沢から通勤とすると、平均年収は約76万円上昇するので約16万円増える計算になります。
公的年金は世代間扶養の仕組みですから、こんな比較はあまりしたくはありませんが、増えた保険料が年間18万円。
(実際は会社負担も同額なので約36万円)65歳からの増える年金額が約16万円。
88歳まで生きれば得した?ということでしょうか?

でも実際は、現在の厚生年金保険料率15.35%が18.3%まで(H29年まで)毎年上昇していきます。
計算した年金額は現在の給付水準が維持したという前提ですから、もっとも長生きしないといけないですね。
最近都心では、新幹線通勤や遠距離通勤をされている方も増えてきています。
経営者としてどう考えますか?

③月収が高いと社会保険料は上がるが年金額は増えない!?

ところで、彼のように保険料は上がる変わりに年金額も増えるケースばかりではありません。
月収が高い人はそうなりません。
なぜなら、厚生年金保険料は上限が決まっていて605,000円以上の給与の方は同じ保険料です。
しかし、健康保険料の上限は1,175,000円ですので健康保険料は増えます。

仮に彼が、月40万円ではなく65万円だったとしたら、健康保険料のみ年間270,432円(自己負担分は135,216円)増えます。
当然将来の老齢厚生年金額は増えません。(傷病手当金や出産手当金に影響はありますが・・・)
新幹線通勤や遠距離通勤を考える社員は年齢もある程度高く給与も高い人が多いのではないでしょうか?
社会保険料だけを考えるとこんな社員が増えれば増えるほど経営者は困ってしまいますよね。

④会社として新幹線通勤・遠距離通勤を未然の防止する方法は?

御社の賃金(給与)規程の通勤手当の欄を確認してみてください。
月額の上限額設定はされていますか?
上限が設定されていないものや「非課税限度の範囲内」という設定が多いのではないでしょうか。
「非課税限度額」は現在10万円です。上限10万円ということです。
月額10万円だと新幹線通勤できてしまいますから、3万円~5万円位の範囲で設定すれば、新幹線通勤は考えないし、新幹線通勤したとしても上限額の負担でOKです。
あまり、上限額が低いと問題ですが・・・・・・・・

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