懲戒解雇した社員も退職金は支払わなければならない?

2009年04月06日
①退職金規程がなければ、退職金を支払わなくてもかまわない。

今回は、解雇と退職金にまつわるお話です。
最近の不景気で整理解雇等のご相談を頂くことが増えてきました。
そこで、退職金について少し整理してみます。

そもそも、「退職金」は就業規則上、絶対に記載しなければならない事項ではありません。
つまり、労働基準法上は、退職金を支払うことを義務化しているわけではありません。
但し、退職金は賃金の一部ですので退職金制度がある場合は、就業規則に定めないとならなくなり当然支払い義務が生じます。
退職金規程がなくても、過去に退職金を支払った実績があれば、それが基準となり退職金の支払義務が生じます。

②退職金規程は特に制約はありません。

退職金規程とは、当たり前ですが退職時に支払う規程です。
退職事由には、大きくは会社の都合による退職(定年・死亡退職等)と自己都合による退職があります。
通常はこの2つの退職事由により支給金額を定めています。
ここまでは良いのですが、問題は普通解雇・懲戒解雇で退職するケースです。

一般的には会社都合退職に該当しますので、その様な規程だと会社都合の退職金を支払わなければならなくなります。
懲戒解雇する従業員には、心情的に退職金は払いたくないのは当然です。
そこで、懲戒解雇については不支給・減額できる規定を設けておく必要があります。
一般的なひな型退職金規程には、不支給・減額規定が入っていないことも多くあります。
その他、諭旨解雇・普通解雇等も解雇の事由ごとに減額の規定を設けることも問題ありません。
そもそも、退職金は法律上の支払い義務はないのですから・・・・・

ところで退職後に、懲戒解雇に該当する事由が発覚したときはどうなるのでしょうか?
それも支払った退職金の返還請求をすることができる規定を設けておけば問題ありません。
退職時のさまざまな状況を想定して退職金規程はしっかりと整備する必要があります。

③退職金を中退共で準備している場合は・・・

ところで、退職金規程がなく中小企業退職金共済制度(中退共)で準備されている企業や退職金額を中退共の額に規定している企業の場合はどうでしょうか?

この場合、懲戒解雇した従業員は中退共から退職金を受け取れるのでしょうか?
会社が拠出した掛金は、会社が支払った瞬間に従業員に帰属しますから、従業員が請求すれば支払われます。
但し、会社が減額の申出をすれば減額は可能です。不支給にはできません。
中退共事業団によれば、判断は所管大臣(厚生労働大臣)が行い最大80%の減額までは認めた事例があるそうです。
仮に、減額できたとしても減額されたものは、会社に戻るわけではありません。事業団に残るだけです。
事業団へ寄付?することになってしまいます。

④解雇は簡単にはできない!

懲戒解雇は、就業規則に定めた懲戒解雇の事由に該当すれば当然可能です。
しかし、普通解雇や整理解雇の場合は簡単ではありません。
就業規則の解雇事由に該当したとしても現実的には、あっせん・労働審判などで争うと会社側が7割以上は負けてしまうのが現状です。
でも経営者は、不必要な人件費を支払う余裕はないですよね。
次回は、そのあたりを少し掘り下げてみます。次回をお楽しみにしてください。

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